《MUMEI》 *関係*そして部屋の前まで来ると、紫堂は瑠果の手を放し、 「お茶の用意が出来たらお呼びします」 と言い残して去った。 瑠果は部屋に入るなりベッドに倒れ込む。 疲れているからではない。 なかなか素直になれない自分に腹が立っていた。 お節介も、気遣いも、嬉しい事であるはずなのに。 まだ完全にそれを受け入れる事が出来ない。 このまま甘えていいのだろうか。 「‥‥‥‥‥‥‥」 紫堂は執事だ。 世話をするのは当然の事。 お嬢様である瑠果は、その執事の命令に逆らう事が出来ない。 何とも奇妙な関係だ、と瑠果は思う。 だがまた、それでいいとも思うのである。 前へ |次へ |
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