《MUMEI》
*関係*
そして部屋の前まで来ると、紫堂は瑠果の手を放し、

「お茶の用意が出来たらお呼びします」

と言い残して去った。

瑠果は部屋に入るなりベッドに倒れ込む。

疲れているからではない。

なかなか素直になれない自分に腹が立っていた。

お節介も、気遣いも、嬉しい事であるはずなのに。

まだ完全にそれを受け入れる事が出来ない。

このまま甘えていいのだろうか。

「‥‥‥‥‥‥‥」

紫堂は執事だ。

世話をするのは当然の事。

お嬢様である瑠果は、その執事の命令に逆らう事が出来ない。

何とも奇妙な関係だ、と瑠果は思う。

だがまた、それでいいとも思うのである。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫