《MUMEI》
真菜視点
うちの兄貴ゼってーありえねーし!!
妹を泣かせた男を部屋に入れたばかりか、私が買ってきたビールと私が作った肉じゃがでおもてなししちゃってる!
「うん、美味しいよ折原!」
「なっ!呼び捨て!?」
「真菜、ダチなんだから当たり前だろ、つかお前も呼び捨てにしてるし」
「お兄ちゃんは黙ってて!ね、伊藤さん…
ちょっと!伊藤さんどこ行くの!」
気がつけば伊藤さん、バッグを持って玄関にいる。
「悪い!代行7時に予約してたから!じゃ後はゆうちゃん頼んだから!」
「ひでゆきぃ〜!」
お兄ちゃんフラフラ立ち上がり、伊藤さんに近づく。
「ちょっとお兄ちゃん!今内藤がいるんだからダメ!何もしないで〜〜!!」
私は慌ててお兄ちゃんの傍に行くが…
「…秀幸」
腕を伊藤さんの首に回してギュッと抱きつくバカ兄貴。
「忘れモノ、俺の事置いてく気?」
スッゲー甘ったれた声色!
私は思わず固まってしまった。
「だってゆうちゃん明日朝早いだろ?、今日は早く寝る約束で昼間っからビール飲んだんだから…な?いい子にしな?」
――うわ…こっちも甘い!!
つかめちゃめちゃ抱きしめかえしてるし!!
私は恐る恐る振り向くと案の定、内藤は口をあんぐりさせてガン見している。
――コイツはヤバい!
「あ、あれね!あの二人ね?えっと…」
「…いーな」
「うへ?」
今コイツいーなって言った?バカな!
きっと私の空耳アワー
「!〜〜ちょ〜っと!!」
お兄ちゃんは伊藤さんの耳たぶに噛みついている。
私はとっさにお兄ちゃんのバッグを持ってきて
バシッ!!
「「イデッ!」」
二人におもいきり投げつけた!
「何すんだ真菜!!今いーとこなんだぞ!」
「うるせー!腐れ酔っ払い!!伊藤さん!
お兄ちゃんの事朝一でタクシーで送り返して頂戴!もういーからこのバカ連れてって!」
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