《MUMEI》 俺の必死の懇願をあっさり無視して、茶髪男はベッドから降りていった。てかベッド狭!よくこんなとこで男二人寝れたなオイ。 あ、ちょっと泣きそうですね俺 「大体さぁ、」 やかんを火にかけ、コーヒーの粉を二つ出したカップに入れながら茶髪男がのたまいやがる。 「そんっな恥ずかしいこと?」 褐色の瓶の中身が固まっているのかがしゅがしゅとスプーンで掻き混ぜながら不思議そうに首を傾げる茶髪男。 何言ってんだコイツ 「や、詳しいことは知らないけどもさぁ、‥‥別にそこまで必死に隠すようなことでもないんじゃん?」 砕いたクリープを入れながら首を傾げる、皮肉でもなく哀れみでもない声音、やかんがしゅんしゅんと湯気を吐き出している。 いつもへらへら笑っている茶髪男の、今までに見たことのない真面目、というよりは素の顔に驚く。 前へ |次へ |
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