《MUMEI》

俺の必死の懇願をあっさり無視して、茶髪男はベッドから降りていった。てかベッド狭!よくこんなとこで男二人寝れたなオイ。
あ、ちょっと泣きそうですね俺

「大体さぁ、」

やかんを火にかけ、コーヒーの粉を二つ出したカップに入れながら茶髪男がのたまいやがる。

「そんっな恥ずかしいこと?」

褐色の瓶の中身が固まっているのかがしゅがしゅとスプーンで掻き混ぜながら不思議そうに首を傾げる茶髪男。
何言ってんだコイツ

「や、詳しいことは知らないけどもさぁ、‥‥別にそこまで必死に隠すようなことでもないんじゃん?」

砕いたクリープを入れながら首を傾げる、皮肉でもなく哀れみでもない声音、やかんがしゅんしゅんと湯気を吐き出している。
いつもへらへら笑っている茶髪男の、今までに見たことのない真面目、というよりは素の顔に驚く。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫