《MUMEI》
*声色*
これには流石に瑠果は苦笑せずにはいられなかった。

「何故そんなにも謝る?」

答えは決まっている。

失敗をしたからだ、と。

役に立てないからだ、と。

だが瑠果は何故紫堂が謝るのかが分からなかった。

彼女にとって紫堂が起こした失敗は、ほんの些細な事に過ぎないのだから。

だが紫堂は謝るのをやめない。

「紫堂」

強い、だが優しい声色で瑠果が言った。

「もう止さないか」

その言葉に、紫堂はようやく謝るのをやめた。

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