《MUMEI》 「ジロ、片付け手伝ってくれない?」 七生父が申し訳なさげに両手を合わせていた。 「いいですよ」 七生もおじさんも、片付けが苦手なとことかそっくりだ。 「二郎それ捨てちゃダメーっ!」 ゴミだと思っていたものが七生には必要らしい。 「プッ……」 七生父は漫画を見付けて笑っている。 「ちっとも進まないじゃないか似た者親子!」 頭に血が上ってしまった。 「似た者……」 七生が静かに呟いた。 しまった、禁句か? 「…………ぶあはははは!!俺が育て子供だ、そりゃ似てるわな!!」 おじさんに爆笑される。 「似てねーよ!血が繋がってないし!」 「二人はよく似ているよ。声のでかさも仕草もそっくり……。」 これを親子と言わずしてなんと言う。 「……不満か?!」 おじさんは無口な七生の頭をチョップした。 「ッテェ!クソジジィ!」 容赦しない。 「おじさん、七生嬉しいんですよ。」 表情に出せてないだけだ。多分おじさんだって気付いてるけど上手く言い表せないのだろう。 ……不器用親子。 「俺達は18年間親子して、下の世話も一人で立って歩くのも、入学、卒業だって見て来た。 全部めちゃめちゃ楽しくて嬉しかったんだ。抱き抱えて大笑いした。 お前にはもう一人親がいるんだ、自分のガキを抱けねぇのは辛いだろ? ……俺が楽しかった分、誰かが顔も知らない七生を思ってたんだ。」 ……おじさん、向こうの父親のこと考えて……。 前へ |次へ |
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