《MUMEI》
*誠実*
「こんな役立たずでも‥お嬢様のお側にいていいのですか?」

「たとえお前がどんなに役立たずであったとしても‥私の執事はお前1人だ。その事を忘れるな」

「はい‥」

答えると、紫堂は箒を手に再び破片の始末を始める。

その様子を見ながら、変わってきたな、と瑠果は思う。

以前に比べれば随分と執事らしくなったものだ、と。

ただ、初めから彼が自分に誠実である、という事は確かだった。

「───────」

瑠果の脳裏に、ふと、あの日の事が頭に浮かんだ。

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