《MUMEI》 *幸福*彼女がもうひとつ思う事がある。 ──幸福。 彼が側にいる、それだけで幸せなのだと、瑠果は思う。 「手伝うぞ、紫堂」 瑠果がしゃがみ込もうとすると、紫堂ニッコリと笑って首を振る。 「いえ、お構いなく」 「だが──」 「命令です。危険ですから下がっていて下さい」 「‥そうか」 瑠果は大人しく引き下がる。 命令には逆らえない。 逆らう事は出来ない。 絶対に。 だがそれは決して苦ではなかった。 自分の為の命令である、と分かっているから。 前へ |次へ |
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