《MUMEI》
*拘束*
紫堂が破片の始末を終えると、壁に凭れていた瑠果は、気付かれないようゆっくりと彼に歩み寄る。

紫堂の背後に立ち様子を窺う。

それに気付いた紫堂は瑠果の前に跪く。

「どうされましたか?」

「‥‥‥‥」

「ぉ、お、お嬢様?」

瑠果は無意識だった。

「‥‥‥‥‥」



勿論、紫堂が動揺しているのは分かっていた。

だがその腕は、彼を拘束して放さない。

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