《MUMEI》 *夜中*「‥‥‥‥‥‥‥」 ようやく一日の仕事を終え、紫堂は明日の食事を何にしようかとあれこれ考えを巡らせていた。 だがそれは、ほとんど考えていない事に近かった。 「‥‥‥‥‥‥‥」 まだ残っている感覚。 触れた手の熱さ。 温もり。 「瑠果の方から抱いてくるやなんてなぁ‥」 彼自身、全く予想していなかった出来事だった。 「寂しかったんやろな‥」 あの時の瑠果の腕力は、少女のものとは思えない程だった。 そんな事を思っていると、 「?」 廊下の方で気配がする。 (瑠果‥?) 紫堂は扉を開け、廊下を覗いた。 前へ |次へ |
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