《MUMEI》
*仕事*
「‥あ」

扉の前で、瑠果が待っていたかのように立っていた。

「眠れませんか?」

瑠果は頷いた。

紫堂は瑠果の手を引いて彼女がいた部屋へ向かう。

瑠果が眠るまで付き添ってやるのもまた、彼の仕事のひとつなのだ。

「すまんな‥」

瑠果が傍らで呟くようにそう言ったのを、紫堂は少し嬉しく思った。

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