《MUMEI》
野中早苗
野中早苗(のなかさなえ)

19歳。

実力派のシンガーでルックスにも恵まれた期待の若手歌手。性格はおおらかで、バラエティにも多く出演していたが、ここ半年は音楽活動に専念したいということでテレビに出ていない。

なんとなく罪悪感を感じた。

ここ半年って有理の入院期間とモロかぶってるし。

それにしても、本当にこれでいいのか?

オレにはそんなことしかできないのかよ。

大切な弟の大切な人はオレにとっても大切じゃないのか?

音楽活動に専念してるってことは、ライブかレコーディングスタジオだけど、オレは芸能界に疎くて、野中さんの所属している事務所とか知らない。

まさかマネージャーに聞く訳にもいかない。

…という訳で、勝手に有理のケータイから電話をかけた。

『も…もしもしっ!?ゆっ有理?』

「うん……。有理だよ。ゴメンな、半年も連絡しないで…」

『ううん…。いいの…。また、この電話から声が聞けただけで嬉しいから……』

「それでさ、久しぶりに会いたいんだ。いろいろ話すことあるし……」

これ以上、泣いている野中さんに有理のふりをするのはつらかった。

電話を切った後、オレはどうすべきかを考えた。

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