《MUMEI》 *乙女*5つ目のパンにジャムを塗りながら、瑠果はふと顔を上げた。 「紫堂」 「‥‥あ、はい」 紅茶を飲みかけていた紫堂はカップを下ろして答えた。 「何でしょうか?」 「いや、すまん。その──‥」 「?」 「呼んでみただけだ」 「そうですか」 「ああ。すまんな。──どうした?」 「可愛いらしいですね」 「!?っ」 瑠果は今まで可愛いらしいなどと言われた事がなかった。 「わ、私が、か?」 「お嬢様は乙女なんですね」 「お、おとっ‥?」 聞き返す瑠果に、紫堂はニッコリと笑いかけた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |