《MUMEI》
情報通
「うちのお団子が食べられるって事は、やこちゃんとせいこちゃんだいぶよくなったのね」


薫子さんの言葉に、私は頷いた。


双子は同じタイミングで、月曜日の夜から風邪を引いている。


仕方なく、翌朝は、私が『シューズクラブ』へケーキを届けた。


幸い対応をしたのが雅彦だったので、私は無事に帰ってこれた。


その日の夜は、『クローバー』は営業しなかった。


そして、今日は水曜日。


咲子さんの看病で、双子は熱も下がり、食欲も出てきたのだった。


「昨日は残念だったわね」

「仕方ないです」


(むしろ良かったです)


私は薫子さんからお団子を受け取り、お金を払った。

昨日は…


昨日の夜は


商店街の皆で近くの自然公園に集まって、花見が行われた。


「皆、蝶子が来なくて残念がってたわよ。

…特に俊彦が。

今日は二日酔いらしいわよ。
さっき雅彦が薬局から出てきたところを結子が捕まえて聞き出したらしいから」

「ハハハ…」


私は苦笑した。


良いことも悪いことも、この商店街で起こった事はほとんど筒抜けだった。


特に


瞳さんや薫子さんを中心にした、五人組は情報通で有名だった。

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