《MUMEI》

扉を開けたのは


ピンクの花柄のパジャマのやこちゃんでも


ピンクの水玉のパジャマのせいこちゃんでもなく


「お邪魔してるよ」


あの派手な靴に合いそうな

スーツを着込んだ和馬だった。


「ただいま。二人とも

…いらっしゃい、和馬さん。

これ、置いていくから、ごゆっくり」


私は、お盆を置いて、立ち上がった。


(そうだ)


私は、隣の部屋からハンガーを持ってきた。


「ジャケット、貸して下さい」


「お、ありがと」


私は和馬が脱いだジャケットをハンガーにかけて、双子の部屋に吊しておいた。

「いいえ。失礼します」


私は隣の自室に入った。


リビングに咲子さんが『すぐ戻るからね』とメモを残していたから、私は和馬がいる間は、ここに避難していようと思った。


(お団子、食べたかったなぁ…)


そんな事を考えて、ベッドに横になった。


今日は、本当に、暖かくて気持ちのよい天気だった。

だから、私はつい、うとうとと…かなり深い眠りについていた。


「ん…」


私は、ゆっくりと目を開けた。


「お〜い」


?


目の前に映る、モスグリーンの瞳。


(えぇ?!)

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