《MUMEI》

ドンッ


「な、何してるの?!」


私は思わず至近距離にいた和馬を突き飛ばした。


「いや、検温だけど?」


「はぁ?!」


確かに和馬は私とおでこを合わせていたが…


「何で検温?!しかも、寝てる時にしなくてもいいでしょ!」


「いや、双子が風邪引いてるから蝶子ちゃんは大丈夫かなって思って。

言っとくけど、何度も声はかけたよ?

あと、あんまり騒ぐと双子が乗り込んでくるよ」


(それは困る!)


私は口をつぐんだ。


一応、さっき和馬が言った言葉に不自然なところは無かった。


(でも、和馬だし)


いまいち信用できなかった。


「本当は、今日、皆来たがったんだよ。

双子の見舞いじゃなくて、蝶子ちゃんに会いたくてね」


「何で、私?」


私は風邪を引いていないのに。


「最近滅多に配達来ないし、昨日は花見休むし。

あと、もしかしたら本当は蝶子ちゃんも風邪引いてるかもって心配してね。

双子が俺の事好きで良かったよ。

こうやって、蝶子ちゃんに会えて、部屋に入れたし」

(勝手に入ったんじゃない)

私は頬を膨らませた。


「『そんな顔』して語られても、かっこよくないですよ」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫