《MUMEI》
兄トシテ…
「どういうこと?有理がふたり……」

倒れそうになった野中さんを支えながらソファに座らせた。

「流理…どうして」

「オレには有理の代わりに人を傷付けることなんてできないからね。自分で解決してもらおうかな、と思って」

「あの……?」

「あ、実はオレ達双子なんだ。オレは有理の兄の流理っていうんだ。よろしく」

「はあ…」

「じゃあ後はふたりで話して」

「……待てよ。流理、オレはお前に話がある」

「それは後からいくらでも聞くよ。今は…野中さんに伝えなくちゃならないことがあるだろ?」

「流理…!」

「有理、しっかりしろよ。お前野中さんを半年近くもほったらかしにしてたんだ。それなのに野中さんは有理を想ってくれてる。そうでしょ?」

野中さんは小さくうなづいた。

「さあ。いつまでも怖がってないで勇気を出せよ。いつもの自信はどうしたんだよ?」

「わかった……」

ようやく有理は心を決めたみたいだ。

いい方にことが運んでくれればいいけど。

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