《MUMEI》
*甘党*
そのチョコレートがけアイスクリームを平らげ、ようやく瑠果は朝食を済ませた。

皿やカップを片付けながら、紅茶に砂糖を入れた瑠果の行動が珍しい事でなはいと紫堂は気付いた。

(今まで気ぃつかんかったけど‥瑠果て甘党なんやな‥)

普段から瑠果はお茶の時以外では滅多に甘い物を口にしない。

だが実際は結構な甘党なのだと、紫堂は今更ながらに気付いたのである。

以前の瑠果ならこのような事は知り得なかっただろうと紫堂は思う。

窓辺に佇む少女の姿を愛しく思いながら、紫堂はテーブルに出していた皿の最後の1枚をトレイに重ねていた皿の上に乗せ、落とさないように気をつけながら運び始めた。

食器を洗いながらふと手を止め食堂側を覗いてみると、瑠果はまだ窓辺にいて外の景色を眺めていた。

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