《MUMEI》
ファン感謝祭
和馬のおかげか、双子は翌日は元気に登校した。


二週間後の木曜日。


今日は、双子の学校の担任が家庭訪問にやってくる事になっていた。

咲子さんは定休日の水曜日を希望していたが、ルートの都合で木曜日になってしまったのだ。


(よりによって…)


朝と昼の二回配達がある日に当たってしまった。


家庭訪問は午後だから、朝の配達は咲子さんが行ったが、昼はさすがに無理だった。


「いらっしゃい」×4


「何で?!」


私は、開かれた扉の向こうに『シューズクラブ』の四人が揃っていて驚いた。


「はい、これ」


何だか事務所に入りたくなくて、私は弁当と味噌汁の入った袋を


手を出している俊彦ではなく


雅彦の前に差し出した。


「嫌われてるな、俊彦」


和馬が冷やかした。


「うるさいな。蝶子ちゃんはシャイなんだよ」


「違う」


これっぽっちも照れてなどいなかった。


「じゃ、私はこれで」


弁当代は朝咲子さんが受け取っていたから、後は帰るだけだった。


「ちょっと待って!」


グイッ


後ろから腕を引っ張られた。


これが他の三人なら激怒するところだが


「何? 雅彦」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫