《MUMEI》 *奉仕*「お庭へ行きましょうか」 紫堂が声をかけると、瑠果は振り返った。 「疲れているだろう?」 瑠果は先程紫堂が花瓶を倒しかけたのを見て心配だった。 以前よりも確実に、紫堂の仕事は増えている。 頼まなくても、身の回りの世話は全て彼がやってくれる事になっている。 彼の世話を拒まない事。 それが瑠果には当たり前になりつつあった。 だが。 「少し休むといい」 気遣いだけは顕在なのである。 「お嬢様?」 「お前が倒れてしまっては元も子もないからな」 もっともだと紫堂は思う。 それでも彼は、瑠果に尽くす事をやめない。 前へ |次へ |
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