《MUMEI》

何故か俊彦が勝ち誇ったように言った。


私の誕生日も


すごく覚えやすいから


何となく、教えたくなかった。


二人は、不満そうだったが

「そんな事より、続き!」

私は会話に入れない雅彦を促した。


「あ、うん」


雅彦は、慌てて説明を始めた。


『シューズクラブ』の店員の誕生日は特別で


その日一日は、雅彦の客しか予約を入れないらしい。

だから、普段別の担当をしている和馬と孝太も、雅彦のフォローにあたる。


「大丈夫なの?」


「最近は、おしゃれなスニーカーもあるからね」


「通勤・通学にスニーカーを使いたい客もたまにいるしな」


「俺はね〜、心配だな。

蝶子ちゃんが様子見に来てくれるなら大丈夫かもしれないけど…」


「じゃあ、その日一日は雅彦も大変ね」


「無視?!」


(うん、無視)


私は、俊彦に構わず雅彦に話し続けた。


「で、『クローバー』としては、何をすればいいの?」


「うん。俺のお客様は、運動やってて、カロリー気にするお客様が多いから、ヘルシーなケーキを頼みたいんだ。

あと、持ち帰り用のお菓子も頼みたいし」


「わかった」


「それからね〜」

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