《MUMEI》 「何?」 「…蝶子ちゃん、冷たい」 「雅彦と俊彦では、温度差があるな」 孝太が冷静に分析した。 「今は絶対零度だね」 和馬が茶化した。 (無意識なんだけどな) どうしても、態度に出るようだった。 「…で、何なの?」 「閉店後、『クローバー』で雅彦の誕生日パーティーやりたいんだけど、いい?」 「別にいいと思うけど」 (そんなに怯えた目で見ないでよね) 私がいじめたようで、気分が悪かった。 「ありがとう!」 「じゃ、私帰るから!」 私が急に立ち上がったから、俊彦は、行き場を無くした手をポカンとした顔で見つめていた。 「ひきとめてごめんね。当日よろしく」 雅彦が私を追いかけてきた。 「雅彦も大変よね」 私の言葉に雅彦は苦笑した。 「誕生日って言っても、お客様感謝祭みたいなものだから」 「アイドルのファン感謝祭みたい」 「俺なんて、他の三人に比べたらまだまだだよ〜」 「そう?」 「そうだよ」 雅彦はそう言ったが… 当日。 (これの、どこが?!) 私は、雅彦の『まだまだ』という人気を思い知る事になった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |