《MUMEI》
*葉桜*
「今日は少し冷えますね」

「‥ああ」

上の空、といった様子の瑠果の返事に少し違和感を覚えつつも続ける。

「向こうの方にも行ってみましょうか」

「そう‥だな」

やはり先程と同じような口調で答えが返ってきた。

紫堂は身体をかがめて瑠果の顔を覗き込む。

「どうか──なさいましたか?」

「いや、すまん」

「‥?」

「そこの木陰で休まないか」

「そうですね」

2人は連立って葉桜の下へと向かった。

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