《MUMEI》

「ブハッ!なになにーどした?」

もうすでに着替え終えてパイプ椅子に腰掛け、セッターの煙をくゆらしていた茶髪男が、衝撃音に気づいてこちらをむく。ぶつけた音が漫画かように大きくて何かのギャグだと思ったのか、げらげらと笑っている。
その透けた茶色の瞳と整った顔にありえないデジャヴを感じて再び俺はロッカーに頭をぶつける、ガシャン。

「え、ちょ、ホント大丈夫?体調悪い?」

さすがに2回目となっては不安になったのか、茶髪男はパイプ椅子から立ち上がってこちらにやってくる。

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