《MUMEI》 有理ノ想イ@……沈黙がふたりを包んだ。 「…流理さんってしっかりした方なのね」 「……オレと違って?」 「そうね。約束にも時間通り来る私より先に来て待っていたし、態度も大人っぽかったわ」 「…悪かったな!」 「冗談よ。怒らないで」 2つ年上の早苗は見ないうちにまたきれいになっていた。 本当にオレなんかがキスしたり、触ったり、側にいたりしていいのかと何度も不安になった。 いつかはオレの側からいなくなってしまうものだと思っていた。芸能界なんてそういうものだと思っていたから。だからこの病気はいいきっかけになると思った。 それなのに早苗は毎日メールを送り続けていた。 着信も一回ずつ。 嬉しかったけど、余計悲しかった。 オレのことなんか忘れちまえばいいのに。 どうしてオレなんかのことを心配するんだよ。 どうでもいいじゃん。 約束の時間通りに来ないし、すぐやきもち妬いて困らせる年下のガキのことなんか。 早苗、なんでここにいるんだ? 何を思ってそこに座ってる? 「ねぇ。半年間、何してたの?」 ――きた。この時を待っていた。 前へ |次へ |
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