《MUMEI》

「んじゃ、もーすぐ時間だし早く着替えろな。無理すんなよー?」

俺の様子は明らかに平素と違っていたはずだが、必死の剣幕に茶髪男は何も指摘せずに割とあっさり引き下がった。すでに着替え終えていたので、煙草を備え付けの灰皿にもみ消して休憩室から出て行く。

その細い背中が出て行ってから、ようやくひとりになれた俺は深く息を吐き出した。

まったく、何で
何であんな、夢を。

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