《MUMEI》
*寝息*
だんだんと暖かくなってきた。

幹に凭れて、瑠果はうたた寝を始める。

紫堂が瑠果の頬にかかった彼女の金髪をそっと払ってやると、ほんの少し瞼が震えた。

だが起きた様子はなく、すぐにまた寝息を立て始める。

(‥?)

紫堂は寄り掛かってきた瑠果に驚いたが、動く事が出来ない。

「───────」

可愛いらしい寝息が、耳元で聞こえる。

紫堂は枝と葉の間から僅かに見える青空を見上げた。

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