《MUMEI》
*嗚咽*
瑠果はベッドに寝かされた。

彼女の白い肌が更に白くなっているのを見て、紫堂は不安に駆られた。

(こないな時‥何したったらええんやろ‥)

何をすればいいのか分からず、紫堂はただ彼女の側に付いてやる事しか出来ない。

「お嬢様‥?」

紫堂の耳に、瑠果の嗚咽が聞こえてきた。

「ど、どうされましたか」

「私は‥お前の役には立てんのか‥?」

「‥ぇ」

「お前の為に‥何ひとつしてやれんのか‥?」

「お嬢様」

「‥っ‥‥‥」

「お嬢様が笑って、元気にしていて下さるのが僕の幸せなんです」

「‥‥‥‥‥‥」

「ですから、どうか──泣かないで下さい」

「‥‥‥‥‥‥」

「宜しいですか?」


コクン。

瑠果は無言で頷いた。

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