《MUMEI》
*目眩*
しばらくすると、瑠果の顔色が戻った。

「良くなりましたか」

「ああ。もう平気だ」

瑠果はベッドから起き上がり、床に立つ。

だが、まだ本調子ではないのだろう。

「‥‥‥‥‥」

目眩がして、瑠果は固く瞼を閉じた。

「大丈夫ですか‥?」

「ああ。心配をかけてすまんな」

そう言って一歩踏み出そうとした瑠果の身体が、傾いた。

「お嬢様‥っ」

紫堂が受け止めていなければ、瑠果は床に倒れる所だった。

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