《MUMEI》

「ちゃんと拭けよ。風邪引くから。」

「すいません・・・」

先生は宿直室から、窓の外を見ている。

「結構降ってるな?」
「なんだか、いつも迷惑ばかりですいません。」

私はタオルで顔を隠しながら頭を下げた。
先生はいつもどおり、ちょっと不機嫌そうに『別に』と返した。

「雨が小降りになったら、帰ります。」

「そのままの格好で外出んの?」

私は意味がわからず首を傾げた。服が濡れてるから?

「おまえは、無意識に男を挑発するタイプだな。」

たまたま横の壁に掛かっている鏡を見た。・・・薄手のブラウスが濡れて、下着が透けている。

私は慌てて、しゃがみこみタオルで体を隠した。耳まで赤くなってる気がする。
先生はずっとわかってて、見てたの?・・・

「早く言ってよ!」

そんな姿を見て、先生は吹き出した。


「先生ってエッチだよね?すぐ、そういうこと言う。普通は黙ってバスタオルをかけてくれるとか、服を貸してくれるとか。」

恥ずかしさのあまり、饒舌になってしまう。

「男なんて皆そうだよ。」
飄々とした態度で返す。

「私は男として、じゃなくて先生として、って話しをしてるの!」

その態度に反発するように、強気で返した。

「じゃあ、先生も男ってことだよ。」

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