《MUMEI》 「先生はなんで星に興味をもったの?」 ふと聞いてみたくなった。 一生懸命説明しようとする姿が、なんだか先生らしくない気がした。 「え?」 先生は驚いた表情をし、その後見たこともない、悲しい顔をする。 聞いてはいけないことを、聞いてしまったような空気が流れた。 「・・・好きな奴が、星とか星座とかが好きで・・・いつか、南半球のサザンクロスを見るのが夢だったんだ。」 先生は重たい口を開いた。 「サザンクロス?」 「南半球の有名な星座で、南十字星って聞いたことないか?」 私は『あぁ』という感じで頷いた。 「どうしても彼女と南十字星を見たかったんだ・・・。その時に、詳しい方がカッコイイだろ?だから。」 悲しい顔のまま笑顔を作ろうとする。 なんでそんなに悲しい顔をするんだろう。好きな人と一緒に星を見たいなんて、素敵な夢なのに・・・ 「今もその人のことが好きなの?」 「・・・あぁ。」 だからおまえたちの入る隙間はない。これ以上想われても、無駄だよ・・・ そんな風に言われてるようだった・・・。 前へ |次へ |
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