《MUMEI》

「先生はなんで星に興味をもったの?」

ふと聞いてみたくなった。
一生懸命説明しようとする姿が、なんだか先生らしくない気がした。

「え?」

先生は驚いた表情をし、その後見たこともない、悲しい顔をする。

聞いてはいけないことを、聞いてしまったような空気が流れた。

「・・・好きな奴が、星とか星座とかが好きで・・・いつか、南半球のサザンクロスを見るのが夢だったんだ。」
先生は重たい口を開いた。
「サザンクロス?」

「南半球の有名な星座で、南十字星って聞いたことないか?」

私は『あぁ』という感じで頷いた。

「どうしても彼女と南十字星を見たかったんだ・・・。その時に、詳しい方がカッコイイだろ?だから。」

悲しい顔のまま笑顔を作ろうとする。

なんでそんなに悲しい顔をするんだろう。好きな人と一緒に星を見たいなんて、素敵な夢なのに・・・

「今もその人のことが好きなの?」

「・・・あぁ。」

だからおまえたちの入る隙間はない。これ以上想われても、無駄だよ・・・
そんな風に言われてるようだった・・・。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫