《MUMEI》
*動揺*
「‥‥‥‥‥‥‥」

瑠果は何が起きたのか分からない。

「‥‥‥‥?」

顔を上げると、紫堂が自分を見下ろしている。

「!!っ」

瑠果は反射的に飛び退いた。

「お、お嬢様‥?」

「すっ‥‥すまん」

「危ない所でしたね」

「あ、ああ」

答えながら、何と助けられてばかりなのだろうと思う。

「はぁ‥」

思わずため息が漏れた。

「お嬢様」

紫堂は瑠果の手を取ると、跪いて彼女と視線を合わせる。

「もうしばらくお休みになって下さい。僕はここにいますから」

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