《MUMEI》

その日は店内で出すヨーグルトムースの他に、持ち帰り用の豆乳蒸しぱんもあるから、咲子さんと二人で『シューズクラブ』に来たのだが…


まず、駐車場に停まっている…マイクロバスに驚いた。


仕方なく、私と咲子さんは少し離れた商店街専用の駐車場を利用したのだが、そこにも、ワゴン車がたくさん停まっていた。


しかも、『商店街中央駐車場』の看板の横にはしっかり『シューズクラブ臨時駐車場』という看板が設置されていた。


そして、入口には、赤ジャージ・青ジャージ・黒ジャージの団体が待機していた。


彼女達は、花束やプレゼントを抱えていた。


私と咲子さんは、その団体の前を走り抜け、裏口から『シューズクラブ』に入った。


「あれは、地元の高校生達よ」


咲子さんが入口の団体について、教えてくれた。


赤はバスケ部・青はバレー部・黒はソフトボール部らしい。


なんでも


『雅彦の選んだ靴を履くと勝てる』


というジンクスがあるらしかった。


確かに、スポーツ万能な雅彦なら、一番適したスニーカーを選べるだろうと私は思った。


「お、『クローバー』も今来たとこ?」


「勇さん、どうしてここに?」

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