《MUMEI》
ひらめき
「ちゃんと食べろよ!」


鈴木に怒られた。


「誰のせいで食べれないと思ってんの!?」


「ごめん・・・」


ハッと鈴木は気付いて謝る。


「私、もう死にそう。いっそのこと死んだ方が楽になれる気がする・・・」


死ぬ勇気なんてあるわけないのに、鈴木を困らせたくて言ってみた。


「そんなこと言うなよ・・・」


案の定、鈴木は困っている。


「私がどれだけ苦しいか分からないでしょ?」


私の問いかけに鈴木は即座に答えた。


「分かるよ・・・。すごい苦しんでる時にお前に助けてもらったから・・・」


あ・・・夏・・・詩織さんの時のこと・・・


たしかに、あの時はいろいろあって辛そうだった。


なのに・・・


「私の気持ち分かるくせに、なんでこんなに苦しめるの・・・?」


「ごめん・・・でも、俺だって苦しんでんだよ・・・」


は?いったい何を苦しむって言うわけ?


「鈴木は私を捨てて例の子と幸せにやってるんじゃなかったの?」


そんな状態で苦しんでるなんて言って欲しくない。


「例の子は・・・彼氏となかなか別れることが出来ないって・・・」


だから苦しいってこと?


「そんなこと私に言われても・・・腹が立つだけなんだけどっ」


って、言った瞬間ひらめいた。


鈴木は彼女のことで苦しんでる・・・
詩織さんの時みたいに、ずっと側にいれば鈴木は私のところに戻ってくるかもしれない。


そう思うと鈴木の状況をマメに把握しつつ、チャンスを待たなければいけない気がした。


「腹立つけど・・・でも、いつでも相談に乗るよ。なんでも言って!」

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