《MUMEI》
失恋宣言。
三人は私のテンションについてないのか一瞬ポカーンとしていた。




…気まずっ。




私がそう思っていると、爆笑しながらコウタは言った



『よっしゃ。えらいっ。』



続けてリコが、




『そうこなくっちゃ。』




最後に出遅れ気味に憐が、



『頑張れよ。』




って言ってくれた。




憐の出遅れた感が全開だったから、またみんなで爆笑した。




まだ何も、答えは出ていないけれど…




正解が何かも分からないけれど…




私の気持ちは晴れやかだった。




『憐。ヨウスケの居場所教えてくれる?』




『おぉ。モトクロスの選手の寮なら知ってるから、ちょっと待ってろ。住所、紙に書くから…』




憐が、携帯にメモってたヨウスケの住所を、コースターの裏に書こうとした時、コウタが止めた。




『憐さん…。今、ヨウスケは寮にはいません。』




『いない?なんでだよ。』



『俺も…おととい聞いたんです。』




『…おととい?』




『はい。ヨウスケから“瑠伊に会えなかった。東京に戻る。”って留守電が入ってたんで電話かけなおしたんです。…そしたらアイツ。“寮は出ることになった”って言ってました。』




『…寮をでた?ヨウスケ、そんなこと一言も言ってなかったぞ。』




憐は驚いていた。
本当に何も聞いてないらしい…。




『で、今は?』




言葉がでない私の代わりにリコが聞く。




『…それが何聞いても、黙っちまって、言わねぇんだよ。…でもなんか“やることがある”って言ってた。』



『やることって何だよ。』



憐は、いらだってた。




『…それも言わないんっすよ。』




…なぜかヨウスケのことで責められているコウタ。




『…憐もリコも落ち着こうよ。コウタも何も聞いてないみたいだし…わかんないんだよね?』




私がそう言うと、コウタは困りながら話してくれた。



『…ヨウスケと電話で話した時、色々聞いても、ずっと黙ってて…でも、たしか…“もう瑠伊には一生会わない”って言ってた。』




『…一生…会わない?』




どうして?何でなの?
私の頭の中は、混乱していた…。




『ヨウスケの野郎、意味分かんねぇーっ。電話かけてみる。』




憐がヨウスケの携帯に電話をかける。




『…くそっ。アイツ電源切ってやがる。…繋がんねぇわ。』




『…みんなありがとう。…もういいよ。…もう十分。無理なんだよ。もう…。』



…ヨウスケにはもう会いに行けないんだ。
…そしてもう会いに来てもくれない。




…私達は終わったんだ。




私は、立ち上がって大声で叫んだ。




『…え〜っ、みなさま。このたびは、私事で大変ご迷惑をおかけしました。わたくしは、本日をもってヨウスケのことをキレイさっぱり忘れる事を誓います。』

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