《MUMEI》
*逆転*
そんな事とはいざ知らず、瑠果は戻って来るとケーキを切り分け始めた。

「あ、お嬢様‥僕が自分で」

「気にするな、せめてもの恩返しだ」

「ぇ」

「今日は私がお前の仕事をやろう」

「お、お、お嬢様‥何を言ってらっしゃるんですか‥!?」

「遠慮は無用だ」

「いえそういう事ではなく‥」

そこまで言って、紫堂は瑠果の格好がいつもと違う事に気付いた。

「お嬢様、それは‥?」

「昔雇っていたメイドのお古だ。似合うだろう?」

誇らしげに胸を張る瑠果。

「という訳だ紫堂、食べろ」

そう言うと、瑠果は先程切り分けたケーキを、紫堂の皿に乗せてやる。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫