《MUMEI》
*正論*
「あ、ありがとうございます」

紫堂は差し出された皿を怖々と受け取る。

「あの、本当にやるおつもりですか?」

「お前の誕生日にお前が仕事をする必要は無いだろう?」

「いえ、ですから──」

紫堂が続けようとするのを遮って瑠果は頷く。

「ああ、私はお前に絶対服従を約束した。だがお前はまだ私にするな≠ニ命令してはいない」

「‥‥ハイ、その通りです」

「お前が命令すれば私は止める。だがそうでないのならやらせてもらうぞ」

瑠果は黒い裾を引きずりながら紅茶のポットを取りに向かう。

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