《MUMEI》

「そうじゃなくねーって・・・・顔色ヤバいもん。熱とかないのちょっと、」

顔を覗き込まれる、男の赤い唇の、その柔らかさを思い出してますます顔が熱くなる。
無言ではくはくと呼吸するだけの俺の姿に、本気でヤバいと思ったのか茶髪男は立ち上がり時計を見上げた。

「英田今日徒歩だよね?俺バイクだからさ、今から家まで送って・・・・」

「だ、大丈夫、」

「え?だってそんな・・・・」

「だだだ大丈夫、一人で帰れる、一人で!」

「ホント?いやマジで遠慮とかいいから、」

「大丈夫!!」

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