《MUMEI》

必死の形相に、さすがに強く言えなくなったのか、茶髪男は渋々頷いた。

「わかった・・・・けど何かあったら電話してな?」

「ありがとう!じゃ、じゃあな!!」

ぶぅん、と音がなるほど勢いよく立ち上がり鞄を持ち直す、緊張していた身体が変な音を立てたがかまっていられない、自分を心配する友人の顔も見ないまま、そのまま数歩大またで進んで硬質なドアノブに手をかける。手にじっとりと汗をかいていた。

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