《MUMEI》

「IT社長ともなると、キレイな女性も近づいてくるだろうから、花子さんも心配が絶えないね…(笑)」


「あぁ、そうだな…。」


タラオは、ゴシップネタに対して『好き』と『信じる』の境界線をしっかりつけている。


敏感に空気を読む嗅覚と、常に一歩引いた立場から周りを見渡す要領の良さは、僕をしのぐだろう…。



「でも大丈夫だよ…(笑)

僕は、いつでもカツオ兄さんの味方さ…」


そう笑ってタラオは右の手の平を僕に差し出した…。


「お前は本当に要領のいいヤツだなぁ…(呆)」


僕は苦虫を噛み潰した表情で、ゴシップの情報料……10万円の束をその掌に乗せた――……。



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