《MUMEI》
*船旅*
「ほ、本当に海‥ですね」

「ああ。1時間もあれば孤島に着くぞ」

「1時間で着くんですか?」

「ああ。天候が悪くならなければな」

瑠果は空を見上げて言った。

風が後ろから後押ししている為か、ヨットは順調に進んでいた。

「凄いですね」

「紫堂は海が珍しいのか?」

「あまり行った事が無かったもので」

「そうか」

「はい、海はいいですね」

「ああ。私も海は好きだ」

眩しい陽の光に目を細めながら呟くように瑠果は言った。

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