《MUMEI》

「おめでとう!」

「おめでとう、雅彦!」


皆口々に祝いの言葉を言い、グラスを軽く上げてから、スパークリングワインを飲み干した。


「え?あの…お〜い」


俊彦は、完全に出遅れた。

その頃私はー


テーブルにある前菜・サラダに続き


「唐揚げできました!」


「じゃ、次は角煮盛り付けてね」


「はい!」


雅彦の好きな肉料理を厨房で仕上げていた。


カウンターに置いた大皿は、咲子さんと祐介さんと勇さんが手分けして運んでくれた。


空いた皿は、克也さんがまとめて持ってきてくれた。

春樹さんは瞳さんと一緒にいるし


結子さん・麗子さん・愛理さんの三人はいつもと違う雅彦に興味津々だった。


俊彦は、人を捕まえては自分がいかにいい兄かをアピールしていたし


和馬と孝太は薫子さんを中心とした女の子達のグループに混じって話をしていた。


私はひたすら料理を作っていたから、詳しい様子まではわからなかったけれど、皆それぞれ楽しんでいたように見えた。


(良かった)


克也さんが下げてきた皿はほとんど物が残っていなかったのも、私の喜びを倍増させた。


「よし、次は魚料理ね!」

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