《MUMEI》

孝太と違って、雅彦は普段滅多に魚を食べないが、いくつか好きなメニューがあった。


今日はそのうちの一つ。


つみれと大根の煮物を出す事にした。


(今日は特別)


普段は人参とこんにゃくも入れるが、雅彦が苦手なので、やめておく事にした。

それから、次のご飯物は、本来は、ピラフやドライカレーにするところだが…


(今日は、ケーキがあるからね)


雅彦はともかく、食の細い孝太や勇さん・女性陣にはきつい。


なので


食事のしめは、お茶漬けにした。


一応…約二名の事を考慮して、全員に木製のスプーンを付けた。


俊彦の目がキラキラしていたが、そこは無視した。


それから


「はい、これ。雅彦用」


私はどんぶりに入った焼きおにぎり二個のお茶漬けを、咲子さんに渡した。


そして、私は冷蔵庫からケーキを取り出した。


バースデーケーキは王道のイチゴショートだった。


三十人分なので、八等分にできるホールケーキを四つ作った。


残りは双子と衛さん用になる。


私は三つのホールケーキを先に切り分けた。


残った一つに、二十一本のろうそくを立てる。


その一つ一つに、火をともしていく。

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