《MUMEI》

店長を見送り、俺は再びベッドの上に寝転んだ。伸ばした腕の先につるりとしたエメラルドグリーンが当たる。

電話、してみようかな

変な夢を見たことは抜きで、何となくあの茶髪男に会いたくなった。

アイツそんな心配してたか、っていうか直接会いにこないっていうことは自分が何かしたと思ってるのか?だとしたらすげぇバカだ。バカだけど

2日前の、自分を心配してくれていた友人に対しての自分の対応に、誰にも言えない理由があったとはいえ、悪いことしたな、と思う。

バカだけど、嬉しい、な

今すぐ電話をかけて、部屋に飲み来いとでも誘ってみようかと思案する。時計を見るとpm22:03。どうせ今日はアイツも早番のシフトだ、暇なはず。
ぱき、と携帯を開くとタイミングよくメールの受信画面になった。反射的な操作でメールを開く。

『今からそっち行っていい?』

お、以心伝心。

俺は笑みを深めて『了解』の二文字を送った。予測変換を使えば3秒で送信完了。

返信は、見ない。

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