《MUMEI》 「はい、次」 「蝶子ちゃん、給食当番みたいだね」 和馬が笑顔で俊彦を押し退けた。 (…嬉しくない) 「…次」 孝太が無言で和馬を押し退けた。 私は無言で作業を続けた。 (ふう) ケーキは残り四つ。 私はそれを、近くにいた人達の皿に盛り付けた。 ケーキナイフとトレイを厨房に置いて、咲子さんが入れている紅茶を祐介さん・勇さん・克也さんと一緒に手分けして配った。 「えぇ〜、何で勇?」 「頭からかけてやろうか」 文句を言う俊彦に、勇さんが脅しをかけた。 あれで二人は結構仲良しだったりする。 「ねぇ、足下大丈夫?見えてる?」 「てめ、自分はパッチリ二重でかっこいいからって調子に乗るなよ」 (あっちは大丈夫かな?) 祐介さんと和馬の仲は私にはわからなかったが 瞳さんと春樹さんが間に入ったので、安心した。 「…」 「…」 (か、会話無し?!) 克也さんが持つと、カップは子供用みたいだが、孝太が受け取ると、普通だった。 (あそこは…) 「あれで、気が合うみたいよ」 「そうなんですか?」 首を傾げる私に、薫子さんは頷いて、花のように微笑んだ。 前へ |次へ |
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