《MUMEI》
*雷鳴*
「‥!?」

雷鳴だ。

「天候が悪くなってきたな‥」

波が立ち、ヨットが揺れ始めた。

「ぅゎ‥!?」

「転覆する事はないと思いますが──‥冷えてきましたね‥」

「ああ。‥いきなりだな。!?」

暗い空で稲妻が光る。

雷鳴が轟き、辺りの景色が不気味に映し出される。

黙り込んでいる瑠果が僅かに震えているのに、紫堂は気付いた。

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