《MUMEI》 引越しの理由仕事終りに佐久間にメールをすると、今晩も泊まりに来ると言う。 「昨日も今日も遠い場所から遥々お越しいただき、誠にありがとうございます」 私が嫌味を言うと。 「吉祥寺に引っ越したら、もっと今より近くなって遊びに来やすくなるよ。楽しみだなぁ〜」 と、嬉しそうな顔をする。 「まさか、それが理由で引っ越しするの?」 「うん。そうだよ」 それだけの為に引っ越し? どういうつもりよ! 「再確認するけど、私、佐久間さんの恋人でもなんでもないんだからね!わかってる??」 「重々承知しております。今後の発展がないことも承知の上です」 佐久間が真顔で答える。 そして・・・ 「だって愛加ちゃんち遠くて大変なんだもん。それにキョンキョンの映画も吉祥寺が舞台だしさ」 とヘラヘラして言う。 「映画に影響されるなんて単純ねぇ〜」 それだけの理由で引っ越しを決意する佐久間の身軽さに驚いた。 「それと、そんなに大変なら頻繁に我が家に来て頂かなくても結構!」 私が来てほしいと頼んでいる訳じゃないんだから・・・ 「冷たいなぁ〜愛加ちゃんは。そんなこと言われても、俺は来たい時に来るからね」 佐久間は相変わらずのお調子者というか・・・ 前向きだ。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |