《MUMEI》 グイッ 「ふざけるなよ、和馬」 俊彦が和馬のシャツを掴んだ。 (俊彦、いつもと違う) そこにいたのは、いつも私に絡んでくる軽い俊彦ではなく まるで 昔の (『俊兄』みたい) 私は不思議な気持ちで俊彦を見つめた。 「何だよ」 和馬は、小声で俊彦に囁いた。 その声は、二人以外は、私と孝太にしか聞こえなかった。 和馬に助けを求めた後。 追求を逃れるように、雅彦はトイレに駆け込んでいた。 「お前が興味あるのは蝶子ちゃんの足だけだろ? 知ってるんだぜ? 蝶子ちゃんの足だけ写ってる写真持ってた事」 「何故、それを…」 俊彦は、信じられないという顔をした。 それから、私を…睨んだ気がした。 (何だか…恐い) 私は思わず 近くにいた孝太の影に隠れた。 「離せよ、俊彦。 またお前の株が下がったら、俺達が『シューズクラブ』が困るんだよ」 俊彦は、周囲を見渡した。 皆が二人に注目していた。 俊彦は、手を離し、大きく深呼吸した。 「和馬」 「ん?」 ガバッ 「ごめんな〜!」 俊彦は和馬を抱き締めた。 「うわっ、やめろ!離せよ!!」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |