《MUMEI》 私はさっそく印刷した物件の一覧を佐久間に見せた。 「はい、これ。佐久間さんが条件をこだわるからヒットしたのは5件!」 佐久間は紙を手にとって真剣に見ている。 「どれも良さそうだけど紙だけじゃ分からないから、実際に連れて行ってよ!」 佐久間の言い分はもっともである。 しかし私は面倒だったので紙だけで片付けようとしていた。 「自分で行ってきてよ」 「えぇぇぇぇぇ!! 部屋の中とか見せてよ!」 いつもは私に反抗しないくせに、さすがに今回は佐久間も我を通そうとする。 「生活する場だよ!しっかり確認するのが当たり前だろ」 「分かってるわよ」 「じゃぁ連れて行ってよ。じゃないと店頭に行くからね!」 佐久間に脅された。 「分かった!!分かったわよ。じゃぁ、どうしよ。いつがいいかしら?」 一応、佐久間はお客様・・・ 公私混同は良くない。 私は自分に言い聞かせた。 「じゃぁ、来週の土曜か日曜は?仕事なら愛加ちゃんも抜け出してこれるよね?」 「じゃぁ土曜日!また時間は追って連絡するわ」 トントン拍子に決まったことに佐久間は気を良くして、 「その後はご馳走するから楽しみにしてて♪」 そう言って私に抱きついてきた。 ハァ〜 思わずため息が出た。 前へ |次へ |
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