《MUMEI》
*孤島*
「そうだったのか」

瑠果は頷いた。

「ならばここはあの孤島という訳だな」

瑠果が窓の外に目をやると、今度は紫堂が頷く。

「はい。本当に素敵な所ですね」

「ああ。父上が買い取っただけの事はある」

「お嬢様は‥来るの初めてなんですか?」

「いや、何度も来たが──やはり良い所だな、と」

瑠果が言うと、紫堂は微笑んだ。

「本当ですね」

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