《MUMEI》
*満足*
「紫堂」

「はい、どうされました?」

「ありがとう」

「ぇ」

瑠果を救出し何とか孤島へ辿り着いた後、紫堂はこの別荘を見つけ彼女を介抱していた。

なかなか目を覚まさない瑠果に付きっきりで付いていてくれたのだ。

「すまなかったな。元はと言えば私のせいであるのに‥」

「お嬢様が気にする事はないですよ。こうして辿り着けたんですから」

「だが‥」

「命令、と言えば聞いて下さいますか?」

すると瑠果は小さく笑った。

「お前には敵わんな」

「?」

「ではいつか恩返しをさせてもらおう」

「いえ──お構いなく」

「何故だ?」

「お嬢様が元気にしていて下されば僕は満足ですから」

「そうなのか?」

「はい。そうなんです」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫